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2019年2月

2019年2月28日 (木)

薫香香取物語(十七)

14.喜びの和香会(5-1)。

(1) ノンちゃん71歳、ヒロちゃん11歳。

(2) 秋のお彼岸。お墓参りをして帰宅。菊の花の酢の物で晩酌。ほろ酔いで寝る。

(3) 夜中、目が覚める。押し入れから甘い香りが漏れてくる。

(4) 起きてふすまの隙間からのぞく。あの桑折が仄かに明るい。

(5) 蓋を開ける。

(6) 底が階段になって、ずっと下まで続いている。甘い風が流れてくる。

(7) 手探りで降りていく。

(8) 階段が終わると駅になっている。

(9) 汽車が停車していて、ヒロちゃんが手招きをする。乗る。

(10) 青い電燈が、暗闇の線路を照らしている。

(11) 遠くに次の駅らしい明かりが見える。近づくにつれて巨大になる。バラバラな色の明かりが、縦にも横にも連なって、九龍城のようだ。

(12) 中学の頃、机の脇にあった本箱だ。

(13) 懐かしい背表紙がドアになっていて、入ると、そこはお香カフェだ。

(14) カウンターのコーヒーサイホンの中で、香木が空薫(そらだき)になっている。ヒロの木の5番目にできた香木だよとノンちゃんが言う。

(15) 言霊を呼び寄せる献香だ。

(16) カウンター席に着く。

(17) ノンちゃんがヒロちゃんに、これまでのまとめをする。

 ここまで、ヒトとして生きている世界や時間や主人公について学んできた。世界は表紙の無い絵本。時間は絵本の目次。自分は絵本の中に住む作者だ。これから学ぶのは喜びだ。

 喜びには段階がある。

A) 動物としての喜びは、不快や不満から解放された時に生じる興奮だ。

B) 小さな自分の喜びは、世界や時間や自分、困難に挑戦する勇気、我慢、努力を言葉で得た時に生じる安心だ。

C) 大きな自分の喜びは、みんなと一体になる時に得られる安心だ。

 人間は、動物としての喜びと、ヒトとしての喜びの絵を描くために生まれて来た。ここからは、ヒトとしての喜びを学ぶことになる。

 さあ、この順番で、喜びの絵を描こう。

(18) BGMが流れる。ギャアテイ・ギャアテイ・ハラギャアテイ・ハラソウギャアテイ・ボジソワカ。


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香心門 中央支援学校 310228

雨。肌寒い。

花粉が始まり、恵みの雨だった。

小学5年。生徒5名。先生2名。

これが本年最後の授業だ。

学年が進むにつれて体も心も目に見えて成長してくるのが分かる。

先生たちが頑張れるのも、そんな所にあるのだろう。

今日はこれまでで一番難しい子供たちのクラスのようだ。

先生は一時も心が休まらない。

お香を焚いているうちに、みんな静かになって来た。

まったりというのはこういう状態なのだろう。

今年も12回、何とか終えることが出来た。

年々、体力は衰えるが、要領でカバーしている。Photo



2019年2月27日 (水)

香心門 みなみ風お香かふぇ 310227

曇り。暖かい。

入所者12名。介護士さん1名。実習生4名。

今日は不自由度が高い人が多かった。

実習生たちが補助をしてくれた。

お香合戦と献香をした。

実習生はみなさんの孫の世代だ。

手取り足とり、互いに楽しそうだった。


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2019年2月26日 (火)

香心門 グレープの里 310226

晴れ。暖かい。

デイサービス来所者14名。介護士さん6名。

午前中、高校生とお香の会をして、そのままこちらで、人生の先輩方とのお香の会に入った。

高校では高校生の気持ちになり、こちらへ来たら先輩の皆さんの気持ちになる。

みんな同じグランドを一周しているのだと思う。

認知症予防というスローガンで、組香をみっちりやった。


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香心門 中央支援学校 310226

晴れ。暖かい。

高校2年11名。先生4名。

五味の香。

組香。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

献香。

生徒が、授業後も残って、後片付けを手伝ってくれた。

握手を求める生徒もいた。

金八先生の気分を味わった。

若い人との心の交流は、高齢者には至福の時間だが、若い人からすれば、気の張ることだ。

お香は、そんな時の架け橋になる。


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2019年2月25日 (月)

香心門 中央支援学校(2) 310225

晴れ。春本番。

小学3年~5年6名。先生たち。

座敷の茶室を用意してくれた。

畳に正座して、輪になって香を廻した。

お香に加えて、和太鼓や茶道なども体験中だとか。

全員補聴器を付けて、先生の代表が私の横で手話の通訳をしてくれた。

言葉のやりとりは、手話と発声の組み合わせだ。

五味の香。

組香。

1人ずつ手話と発声で、和歌を読んでもらった。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける

小学生は覚えが早い。

献香。

私だけでなく、高齢者にとって、小学生と過ごすのは至福の時間だと思う。


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香心門 中央支援学校 310225

晴れ。暖かい。

高校3年6名。先生たち。

五味の香。

組香。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

人の心は変わるけれど、このふる里の梅の花は、

昔と変わらずいい匂いだなあ。

献香。

来年もまたやりましょうと言うと、もう3年なので卒業しますとのこと。

来月で、学校とは別の世界に行くのだ。

今日の献香はその門出だ。

生徒も先生も、万感の思いだろう。


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2019年2月22日 (金)

香心門 中央支援学校 310222(1)

晴れ。暖かい。

小学1年3名。先生2名。

私のお香の会の最年少記録だ。

どうしたらよいか、ずいぶん迷った。

結局、高校生と同じ内容にした。

みんな補聴器を付けていた。

点前は手話でやった。

お香の席には、静謐な手話がよく似合った。

炭団に点火する時、子供らに「火」という手話を教えてもらった。

親指と小指を立てて、炎のようにゆらゆらさせるのだ。

月並みな表現だが、こちらを見る目の輝きが、心を洗ってくれるようだった。


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香心門 中央支援学校 310222

晴れ。暖かい。

中学2年9名。先生4名。

五味の香。

組香。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

人の心は変わるけれど、このふる里の梅の花は、

昔と変わらずいい匂いだなあ。

(一) 第一香。ふる里。  甘い、からい、すっぱい、

にがい、塩辛い、温かい。

(二) 第二香。甘い、からい、すっぱい、

にがい、塩辛い、温かい。

(三) 第三香 ?  ふる里 

献香。

去年見た顔触れが多い。

お香の点前も覚えてくれていて、うれしかった。


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2019年2月21日 (木)

香心門 中央林間地域総括支援センター 310221

曇り。暖かい。

デイサービス来所者20名。介護士さん2名。

こちらへ通い始めてもう4年になる。

こちらは来所者の入れ替わりが少なく、私も含めみんな一緒に歳を取っていく感じだ。

お香も和やかに進行する。

午前の高校生との会の疲れもあって、終わってからも居続けた。

お茶をいただいて、世間話で癒された。


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香心門 中央支援学校 310221

高校1年35名。先生14名。

曇り。暖かい。

生徒挨拶。

お香の開会の挨拶。

五味の香。

組香。

献香。

50名近くのお香の会は初めてで、前夜から緊張して準備をした。

5味の香を8セット、香炉を8基、献香盆も8基。香も24包み。

授業でも1人で8炉の香を点てた。

隠居になって、久しぶりの緊張と大車輪だった。

去年の授業で学生だった子が半分近くいて、名前を覚えていてくれて、声をかけてくれた。


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2019年2月20日 (水)

香心門 中央支援学校 310320

晴れ。温暖。

中学生8名。先生5名。

当番の生徒が授業開始の挨拶。

五味の香。

組香。

献香。

今日は、このお香の授業の後、和太鼓での音楽の授業だそうだ。

いつか、教育技術が進歩して、すべての中学生が、同じ学校で、同じ教室で、一緒に学べる時代が来ることを想像した。

思いやりの心が育ち、いじめや差別の無い社会も、平和な世界も、そこから育つと思わせられた。


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2019年2月19日 (火)

香心門 桜ケ丘記念病院延寿ホーム 310219

曇り。

昼食を終えて早く着いたので、病院内の喫茶室で、看護師さんたちに混ざって、過ごした。

入所者8名。介護士さん1名。

この2か月顔を見せなかった女性が、久しぶりに車椅子に乗せられて参加してくれた。

このままもう会えないかと思っていた。

よかった。

他の人々も常連さんだ。

秋の陽はつるべ落としというが、人の秋も、拍手こそないが、緞帳落としだ。

会を終えて、喫茶室の前を通る時、みなさん楽しみにしていますよ、評判いいですよ、という声がかかり、うれしかった。

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香心門 白楽荘 310219

Photo 曇り。

デイサービス来所者6名。介護士さん1名。

組香。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

人の心は変わるけれど、このふる里の梅の花は、

昔と変わらずいい匂いだなあ。

(一) 第一香。ふる里。  甘い、からい、すっぱい、

にがい、塩辛い、温かい。

(二) 第二香。甘い、からい、すっぱい、

にがい、塩辛い、温かい。

(三) 第三香 ?  ふる里 

献香。

昔話に花が咲いて、あっという間に昼食の時間が来てしまった。

2019年2月18日 (月)

香取物語香具屋姫探香記。(十六)

13.あの世の和香会(4-2問答)。

(1) 問答。ヒロちゃんが尋ねる。子豚が答える。

 心に3人いるというけれど、なんで3人なのかわからない。

A) 塩水を理解しようとすると、塩と水に分けて考える必要がある。人間について理解しようとすると、体と心に分けて考える必要がある。心について理解しようとすると、動物としての感覚や感情の心とヒトとしての言葉の心に分けて考える必要がある。

B) それぞれの心には、それぞれの主人公がいる。感覚の心の主人公を自身、感情の心の主人公を自我、言葉の心の主人公を自分とする。

 なんで感覚や感情の心でなく、言葉の心が自分なのかわからない。

A) 今、どれが本当の自分なのか考えているのは、言葉の心である自分だ。考えている本人が自分だ。

B) 感覚の心や感情の心の働きである自身や自我は、生まれながらに与えられた働きしかできない。環境変化に挑戦できるのは言葉の心の働きである自分だ。ヒトとして生きることを望むなら、自分を主人公にするといい。

 自分が言葉だとは思えないよ。

A) 体を電球とすれば、心は光だ。自分はその光の点滅信号だ。

B) 自分は、体ではなく心、それも言葉の心が作り出す言葉という情報だ。

 自分を身に着けるとどうなるの。

A) 目的が持てる。

B) 自信が持てる。

C) 勇気や我慢や努力の力が持てる。

 自分を身に着けるにはどうすればいいの。

A) 習う。悪霊と善霊を区別する最低限の免疫スクリーンを、信頼できる学校や人や本からもらう。

B) 学ぶ。言霊をとりいれる。

C) 考える。持っている免疫で、悪霊と善霊を区別する。善霊をとりいれ、自分に組み込む。感情の心を刺激する言霊は内容のいかんにかかわらず、ヒトとしての言葉の心を動物の心の奴隷にしようとする悪霊だ。自前の免疫スクリーンを育て、質量ともに善い言霊をとりこみ、さらに自分を進化させていく。

(1) 閉会。

 「香満ちました」と唱和して礼をする。子豚は木に帰る。

 ノンちゃんの夢は終わる。

 この言霊の伝達式の次題は、ノンちゃんが薫香録にして、USBに入れて、押し入れの桑折へ。いつかヒロちゃんに渡るようにする。


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2019年2月17日 (日)

香取物語香具屋姫探香記。(十五)

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13.あの世の和香会(4-1)。

(1) ノンちゃん71歳、ヒロちゃん11歳。

(2) 春のお彼岸。ノンちゃんは墓参りから帰宅。菜の花のお浸しで晩酌。ほろ酔いで押し入れを探し、あの桑折を枕元に置いて、眠る。

(3) 爺ちゃんが迎えに来た。

(4) 動けない。いつの間にかヒロちゃんもいる。

(5) 爺ちゃんが枕元に操縦管を差し込む。空飛ぶ絨毯になって、舞い上がる。

(6) 頭の方から爺ちゃんの声がする。これは1次元の情報世界でしか使えない装置だ。起きている間の4次元世界で言えば、香炉のようなものだ。

(7) 庭の夜空にそびえる香の木の頂上に向かって、出発。

(8) 香の木は、近づくにつれて膨れ上がって、木の葉の海になる。

(9) 木の葉の海は、風に吹かれて、巨大なうねりをうっている。布団の乗り物は、波の中に突っ込んでいく。静かな暗い空間に切り換わる。遠くに、星の川や雲や点が散りばめられている。

(10) ここは心の宇宙だ。星の一つ一つはこれまで聞いたり読んだりして心にコピーされた言霊だ。星と星が線でつながっているのが星座、文章だ。たくさん集まって明るく見えるのが星雲、物語だ。

(11) 漂っている黒い霧が暗黒物質、悪い言霊だ。

(12) それらを吸いこむ黒い穴がブラックホール、暗黒星雲、感情の心だ。

(13) 飛び交っている彗星が癒しの火花だ。

(14) 弱い言霊も彗星も結局ブラックホールに吸い込まれてしまう。

(15) 今日の会場が見えて来た。

(16) あの黒い星雲のわきの小さな星だ。悟りの宇宙の最果ての星だ。

(17) 近づくにつれて星が木になり、葉の海になり、膨れ上がって、布団を飲みこむ。

(18) 着陸。空には黒い天の川が、暗い滝つぼに流れ込んでいる。音はしない。庭と同じ香の木が生えている。ノンちゃんは、ヒロの木に4番目にできた香木を焚いて、呼びかけの献香をした。「これでわしの役目はすんだ」。

(19) 木の後ろから三匹の子豚が現れた。ノンちゃんがヒロちゃんに、3匹ともおまえだよと紹介した。布団だった筵(むしろ)の上に座った。

(20) ヒロちゃんはあの話だなと思った。

(21) 末っ子の子豚が香元になって、巻物の薫香録に従って進行する。

(22) 香題「ヒトとしての主人公」を宣言する。

(23) 巻物の和歌を皆が見えるように広げる。

(24) 和歌を唱和する。人も惜し 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は。

(25) 子豚が香炉と香木を取りだして、香を点てる。

(26) レンガの香炉だ。

(27) ノンちゃんがささやく。本当の自分を教えてくれるよ。

(28) 香炉が廻ってくる。

銘は能除汚穢、迷いを消す。乾いた苦みだ。

2019年2月16日 (土)

香取物語香具屋姫探香記。(十四)

12.あの世の和香会(3-2)。

(1) 問答。ヒロちゃんが尋ね、ウミガメが答える。

 時間って何なの。

A) 時間も言葉だ。動物としての心、つまり感覚や感情の心には言葉が無いから、時間もない。常に現在だ。いつまでも続く現在という意味で永遠だ。感動して、感覚や感情の心の興奮で言葉を失うと、今自分は永遠の中に居ると感じることがある。永遠とは我を忘れて動物になっている心の状態だ。

B) 時間はこの世を、川のように流れている何かではなく、記憶の過去のことだ。一人一人が蓄えている言葉の順番のことだ。だから一人一人が一つずつ別々の時間を持っている。

 過去って何なの。

A) 昨日が過去とは限らない。去年の今日のことを思い出してごらん。思い出せないはずだ。動物としての感覚や感情の心で無意識に過ごしていたのだ。言葉が作られていないので記憶も作られなかったのさ。今となっては何もなかったことになる。

B) 過去とは記憶している言葉のことだ。つまり、時間であると同時に世界でもあり、自分でもあるのだ。

 現在と過去と未来はどう違うの。

A) 現在は現実、過去は記憶、未来は願望だ。

B) 感覚や感情の心が映し出している現在の現実には、言葉が無い。だから時間が無い。記憶も出来ない、永遠だ。

C) 言葉の心は言葉を記憶して、いつでも意識的に取りだすことができる。それが過去だ。

D) 言葉の心は願望を言葉にして目的を作り、目的の実行を励ますために勇気や我慢や努力の言葉を作ることが出来る。それが未来だ。未来は時間の一種と言うより、救い、つまり生き方の一種だ。これについては次の小さな救いで説明するよ。

E) カレンダーの前日が過去で、翌日が未来というわけではない。記憶が無い前日や計画の無い翌日、つまり言葉になっていない日々は、現在の延長なのだ。

 時間は僕にとってどういう意味があるの。

A) 浦島太郎の物語。竜宮城で快楽におぼれて、時間が作れないまま過ごし、気が付けば人生は終わっていたという話だ。現在の現実に気を取られて、感覚や感情の心で過ごしている間は、記憶が作られない。ふと言葉の心が目覚めても、何も思い出せない。結果、これからどうしてよいかもわからなくなる。

B) 記憶を失った人の物語があるね。ここがどこで、今がいつで、自分が何者かわからなくなってしまうという物語だ。すべてが消えてしまうのだ。

 鶴は千年、亀は万年というけれど、人間より長生きなの。

A) 天に監視カメラがあって、体が映っているフィルムの長さで較べたらそうかもしれない。しかし心の長生きも大切だ。

B) 鶴や亀には心の監視カメラ、つまり言葉の心が無いから、時間もない。現在の現実の連続、永遠の中に居る。

C) 人間も、動物としての感覚や感情の心、つまり自身や自我でいる時は、鶴や亀と同じだ。ヒトとしての心の監視カメラ、つまり言葉の心、つまり自分にとっては、長生きとは記憶した言葉の質と量だ。体の長生きと心の長生きは別次元だ。

 過去を身に着けるとどうなるの。

A) ここがどこで、今がいつで、自分が何者か、しっかり理解できていて、自信が湧いてくる。

 過去を身に着けるにはどうすればいいの。

A) 過去は、感じたり見たりしたことを言葉にして記憶して作られる。

B) 言葉の心でいる時にだけ記憶が出来る。

(2) 閉会。

 「香満ちました」と唱和して礼をする。ウミガメは木の中に帰る。

 ノンちゃんの夢は終わる。

 この言霊の伝達式の次題は、ノンちゃんが薫香録にして、USBに入れて、押し入れの桑折へ。いつかヒロちゃんに渡るようにする。



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2019年2月15日 (金)

香取物語香具屋姫探香記。(十三)

11.あの世の和香会(3-1)。

(1) ノンちゃん70歳、ヒロちゃん10歳。

(2) 秋のお彼岸。ノンちゃんは墓参りから帰宅。煎り銀杏で晩酌。ほろ酔いで押し入れを探し、あの桑折を枕元に置いて、眠る。

(3) 爺ちゃんが迎えに来た。

(4) 動けない。いつの間にかヒロちゃんもいる。

(5) 爺ちゃんが枕元に操縦管を差し込む。空飛ぶ絨毯になって、舞い上がる。

(6) 頭の方から爺ちゃんの声がする。これは1次元の情報世界でしか使えない装置だ。起きている間の4次元世界で言えば、香炉のようなものだ。

(7) 庭の夜空にそびえる香の木の頂上に向かって、出発。

(8) 香の木は、近づくにつれて膨れ上がって、木の葉の海になる。

(9) 木の葉の海は、風に吹かれて、巨大なうねりをうっている。布団の乗り物は、波の中に突っ込んでいく。静かな暗い空間に切り換わる。遠くに、星の川や雲や点が散りばめられている。

(10) ここは心の宇宙だ。星の一つ一つはこれまで聞いたり読んだりして心にコピーされた言霊だ。星と星が線でつながっているのが星座、文章だ。たくさん集まって明るく見えるのが星雲、物語だ。

(11) 漂っている黒い霧が暗黒物質、悪い言霊だ。

(12) それらを吸いこむ黒い穴がブラックホール、暗黒星雲、感情の心だ。

(13) 飛び交っている彗星が癒しの火花だ。

(14) 弱い言霊も彗星も結局ブラックホールに吸い込まれてしまう。

(15) 今日の会場が見えて来た。

(16) あの黒い星雲のわきの小さな星だ。

(17) 近づくにつれて星が木になり、葉の海になり、膨れ上がって、布団を飲みこむ。

(18) 着陸。空には黒い天の川が、暗い滝つぼに流れ込んでいる。音はしない。庭と同じ香の木が生えている。ノンちゃんは、ヒロの木に3番目にできた香木を焚いて、呼びかけの献香をした。「これでわしの役目はすんだ」。

(19) 木の後ろから箱を背負ったウミガメが現れた。ノンちゃんがヒロちゃんに、大爺ちゃんだよと紹介した。挨拶を交わして、布団だった筵(むしろ)の上に座った。

(20) ヒロちゃんは何の物語かわからなかった。

(21) ウミガメが香元になって、巻物の薫香録に従って進行する。

(22) 香題「ヒトとしての時間」を宣言する。

(23) 巻物の和歌を皆が見えるように広げる。

(24) 和歌を唱和する。花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに。

(25) ウミガメが、香を点てる。

(26) 玉手の香炉だ。

(27) ノンちゃんが教える。過去と現在を行き来するタイムマシンだ。

(28) 香炉が廻ってくる。

(29) 銘は能覚睡眠、眠気を覚ます。懐かしい甘酸っぱさだ。


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2019年2月14日 (木)

香取物語香具屋姫探香記。(十二)

10.あの世の和香会(2-2)

(1) 問答が始まる。ヒロちゃんが尋ね、かぐや姫が答える。

 ヒトとしての世界って何なの。

A) この世とは。

a 人間は動物だ。感覚や感情の心の働きは他の動物と同じだ。感覚や感情の心は現在の現実つまりこの世を映し出す。

B) あの世とは。

a 人間が他の動物と違うのは、言葉の心を生みだす大脳新皮質が大きい事だ。言葉の心は記憶の過去や願望の未来、つまりあの世を作り出す。あの世と言うと死後の世界と混同しがちだが、生死には関係ない。あの世では、体験したことを言葉にして記憶したり、現実には存在しない事物を言葉で抽象的に作ることが出来る。さらに、時空を超えて、伝達したり、共有したりできる。

C) あの世って死んだ人が行く所じゃないの。

a あの世を、死んだ人が行く所と言うのはなぜだろう。目に見えない、触れないところと言う意味だ。それなら宇宙の果ても、夢や知識という抽象的なこともそうだ。つまり言葉のすべてがあの世なのだ。

b 見えているリンゴはこの世のリンゴ、見えていないリンゴはあの世のリンゴだ。見えていなくても、言葉として在るのがあの世だ。動物としての感覚や感情の心で見ているのがこの世、ヒトとしての言葉の心で見ているのがあの世だ。

c トンボの話をしよう。場面は池の底だ。婆ちゃんがタニシ、お前はトンボの幼虫のヤゴだ。ヤゴは池の底にへばりついている。「さっき姉ちゃんが蓮の茎を上って、天井の鏡を超えて消えた。どこにいったんだろう」。「あの世さ」。「あの世ってどんなところ」。「水の代わりに空気がある。天井の代わりに無限の空が広がっている。いいところだ。わしは出たり入ったりしているよ。あの世の方が好きだよ」。ヤゴは感覚や感情の心、トンボは言葉の心、水中はこの世、空中はあの世の例えだ。

d 見えていても言葉で知っていなければあの世には入らない。物としてあるかないかではなく、言葉としてあるかないかだ。あの世は、言葉で出来ている。見えていても言葉になっていない光景をこの世、見えていてもいなくても言葉になっている情景をあの世とする。動物としての感覚や感情の心に映るのがこの世、ヒトとしての言葉の心が作るのがあの世だ。この世を具体的、あの世を抽象的とも言う。この世とあの世は、脳の働きによって脳の中に作られる。心はそこを行ったり来たりしている。

D) どっちが本当の世界なの。

a 感覚の心の主人公である自身にとっては、この世が本当の世界だ。感情の心の主人公である自我にとっても、この世が本当の世界だ。言葉の心の主人公である自分にとっては、あの世が本当の世界だ。おまえがヒトとして生きようとするならあの世が本当の世界だ。

b ヒトとして大切なのは、より良い人生を作るための世界だ。感覚や感情の心は今ある状態を受け入れることしかできない。今より良い状態を作ることはできない。だから、この物語の主人公であるお前の言葉の心にとっての本当の世界は、言葉の世界、あの世だ。

c 言葉の心には言葉しか見えない。言葉になっていない事物は、たとえ感覚の心や感情の心が感知していても、存在しないのと同じだ。言葉になっている事物は実在、なっていない事物は虚無なのだ。新約聖書に「初めに言葉があった」というのはこのことだ。世界は言葉で作られるという意味だ。

 あの世は僕にとって、何の役に立つの。

A) 人間の心は動物の心の時もあり、ヒトの心の時もある。感覚や感情の心は動物としての心で、言葉の心はヒトとしての心だ。動物の心で暮らしているのがこの世で、ヒトの心で暮らしているのがあの世だ。あの世はお前がヒトになっている時の住処だ。

B) かぐや姫のように、自分はあの世にいるべき者だと知れば、この世の試練や誘惑に負けないぞと言う気持ちが持てる。

 あの世を身に着けるとどうなるの。

A) 人間は動物だ。そしてヒトでもある。それぞれに別々の心の働きがある。それを場面場面で切り替えながらそれぞれの世界を行き来している。何も問題が無い時は、感覚や感情の心で、動物として、本能のまま現在の現実つまりこの世に居る。何か問題が起こると言葉の心に切り替わり、言葉で出来たあの世で、記憶の過去を呼びだて参考にしたり、願望の未来を作り出してやる気を出したりしている。知恵や勇気はあの世から生まれる。人類繁栄の理由だ。

 あの世を身に着けるにはどうすればいいの。

A) 地面が球で、私たちを乗せてクルクル回りながら太陽の周りをまわっていて、太陽と一緒に光の速さで、宇宙の中心から遠ざかっている。これは目に見えないけれど、もっと言えば目に見えるのと反対だけど、言葉が作るあの世だ。見えないことだけれど婆ちゃんは信じているよ。でも信じない人もいる。見えないことは、誰かが言葉にして、その言葉を知って信じた人にとって、本当のことになる。それまでは無いのと同じ、虚無なのだ。知らなかったり信じなかったりする人にとっても、無いのと同じ、虚無なのだ。見えていなくても、例えば宇宙の果ての向こうのように、あるけれど言葉になっていないだけかもしれないし、その言葉を知らないだけかもしれない。見えていても、それについての言葉を持っていなければ、理解も記憶もできないという意味で無いのと同じ、虚無になる。

 あの世は自分が作っているの。

A) 学校で飼育したカイコの事を考えてごらん。小さい時は裸で外に暮らしているが、成熟すると糸を吐きだして住居である繭を作る。そこで空を飛べる体に変態する。ヒトも感覚や感情の心でいる時は裸でこの世に暮らすが、言葉の心に切り換わると言葉の糸を紡いであの世の繭を作り、その中で、記憶の過去や願望の未来へ行ける翅を作っている。繭の外、この世で、強く生きられるようになる。残した繭は美しい絹糸になって、次のみんなの役に立つ。

 じゃあ、僕にとっての世界は、僕が知っている言葉だということになるね。世界は言葉で出来ているということになるね。みんなそれぞれ知っている言葉が違うから、世界は一人一人別々に一つずつある、ということになるね。お父さんやお母さんとも別の世界に居ることになる。何だかさびしい。

A) これから話す話は、言葉の国の話だ。あの世を言葉の国と呼ぶことにする。地球にいると思っているけれど、本当は言葉の国に居るんだよ。言葉の心が一人に一つずつ、別々に在るように、言葉の国も、みんなに一つずつ、別々に在るんだよ。以下は婆ちゃんの言葉の国の話だ。これを参考にして、おまえはおまえの言葉の国を作らなくてはいけないよ。ヒトとして生きるために必要な、知恵と勇気を湧かせるためにね。

B) 戦争はこの世という同じ土俵の中で国と国が戦っていると思っているが、本当は別々のあの世とあの世が戦っているのさ。あの世とあの世の戦いには共通の土俵がないから、善悪も勝敗もない。いじめや仲良しについても同じだ。別々のあの世がいじめたり仲良くなったりしているので、一つのあの世の中に一緒に居るわけではない。でもそれで良いはずはない。最後の大きな救いで説明するよ。

(2)閉会。

 「香満ちました」と唱和して礼をする。かぐや姫は木の中に帰る。

 ノンちゃんの夢は終わる。

 この言霊の伝達式の次題は、ノンちゃんが薫香録にして、USBに入れて、押し入れの桑折へ。いつかヒロちゃんに渡るようにする。

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2019年2月13日 (水)

香取物語香具屋姫探香記。(十一)

9.あの世の和香会(2-1)。

(1) ノンちゃん70歳、ヒロちゃん10歳。

(2) 春のお彼岸。ノンちゃんは墓参りから帰宅。竹の子の煮物で晩酌。ほろ酔いで押し入れを探し、桑折を枕元に置いて、眠る。

(3) 爺ちゃんが迎えに来た。

(4) 動けない。いつの間にかヒロちゃんもいる。

(5) 爺ちゃんが枕元に操縦管を差し込む。空飛ぶ絨毯になって、舞い上がる。

(6) 頭の方から爺ちゃんの声がする。これは1次元の情報世界でしか使えない装置だ。起きている間の4次元世界で言えば、香炉のようなものだ。

(7) 庭の夜空にそびえる香の木の頂上に向かって、出発。

(8) 香の木は、近づくにつれて膨れ上がって、木の葉の海になる。

(9) 木の葉の海は、風に吹かれて、巨大なうねりをうっている。布団の乗り物は、波の中に突っ込んでいく。静かな暗い空間に切り換わる。遠くに、星の川や雲や点が散らばっている。

(10) ここは心の宇宙だ。星の一つ一つはこれまで聞いたり読んだりして心にコピーされた言霊だ。星と星が線でつながっているのが星座、文章だ。たくさん集まって明るく見えるのが星雲、物語だ。

(11) 漂っている黒い霧が暗黒物質、悪い言霊だ。

(12) それらを吸いこむ黒い穴がブラックホール、暗黒星雲、感情の心だ。

(13) 飛び交っている彗星が癒しの火花だ。

(14) 弱い言霊も彗星も結局ブラックホールに吸い込まれてしまう。

(15) 今日の会場が見えて来た。

(16) あの黒い星雲のわきの小さな星だ。

(17) 近づくにつれて星が木になり、葉の海になり、膨れ上がって、布団を飲みこむ。

(18) 着陸。空には黒い天の川が、暗い滝つぼに流れ込んでいる。音はしない。庭と同じ香の木が生えている。ノンちゃんは、ヒロの木に2番目にできた香木を焚いて、呼びかけの献香をした。「これでわしの役目はすんだ」。

(19) 木の後ろから小さなお姫様が現れた。ノンちゃんがヒロちゃんに、大婆ちゃんだよと紹介した。挨拶を交わして、布団だった筵に座った。

(20) かぐや姫が香元になって、巻物の薫香録に従って進行する。

(21) 香題「ヒトとしての世界」を宣言する。

(22) 巻物の和歌を皆が見えるように広げる。

(23) 和歌を唱和する。これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

(24) かぐや姫がふところから香炉と香木を取りだし、香を点てる。

(25) ノンちゃんがささやく。仏の御石鉢だ。あの世からの光を受信する装置だ。

(26) 香炉が廻ってくる。

(27) 香の銘は清浄心身心身を清める。透明な辛味だ.


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香心門 中央支援学校 310213

曇り。寒い。

朝一番の授業だった。

早すぎたので正門の前の車内で待っていた。

たくさんの車が横付けされて、父母や祖父母が子供を抱えて先生に手渡し、車椅子が構内に消えるまで見送って、忙しそうに校門から出ていく。

父母は私の子供より若い。

父母の介護には終わりがあるが、子供の介護は、自分の人生より先が長い。

頭が下がる。

中学2年生7名。先生たち。

五味の香。

組香。

献香。

1年でずいぶん大人になっていた。

明るい気持ちになった。


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2019年2月12日 (火)

香取物語香具屋姫探香記。(十)

8.あの世の和香会(1-2)。

(1) 問答が始まる。ヒロちゃんが尋ね、ペーターが答える。

 言葉って何なの。

A) 脳の中で作られる電気の信号だ。

B) 心に自分や世界や時間を作るレンガだ。

C) 怒りや悲しみの興奮を消す鎮静薬だ。興奮を言葉にして、書いたり話したりすると、興奮が鎮まり気持ちが楽になる。興奮する感情の心から冷静な言葉の心に切り換わる。

 言葉は僕にとって、何の役に立つの。

A) お前の命の40億年は、環境変化との戦いの歴史だった。

B) 体のDNAを進化させて適応するには千万年単位を要する。

C) ヒトは言葉のDNA、つまり言霊を進化させて、素早く環境変化に適用してきた。それが言葉の心の働きだ。

D) ヒトの強さ弱さは、言葉の心の強さ弱さで決まるのだ。

 言葉の心が強くなるとどんないいことがあるの。

A) 困難や環境変化に挑戦できるようになる。

B) 3匹の子豚の話を知っているだろう。紙の家も木の家も、オオカミに吹き飛ばされるが、レンガの家はびくともしないという話だ。オオカミは環境変化のこと。紙や木の家は感覚や感情の心のこと、環境変化になすすべもない。レンガの家は言葉の心のこと、環境変化にもびくともしない。

C) 感覚や感情の心にとっては、現在が安楽なら未来はどうでもいいのだ。言葉の心にとっては、未来が安心なら現在はどうでもいいのだ。

 言葉の心を強くするにはどうすればいいの。

A) 外から流れ込む言葉を言霊と言う。持っている言霊の質で言葉の心の強さが決まる。

B) 強いつまり善い質の言霊を身に着けるには3つの段階がある。

a 習う。悪霊と善霊を区別する最低限の免疫スクリーンを、信頼できる学校や人や本からもらう。

b 学ぶ。外から言霊をとりいれる。

c 考える。免疫スクリーンを改善して、さらに善い言霊をとりいれ、自分や世界や時間に組み上げていく。

C) 勉強はこの為にする。

 勉強は嫌いだ。学校も嫌いだ。

A) 体はお腹がすいたらご飯を食べる。心の食べ物は言霊だ。言霊を食べることを勉強と言う。

B) 体は食べなければ大人になれない。大人とは成長した体のこと。心は勉強しなければヒトになれない。ヒトとは成長した言葉の心のことだ。勉強しなくても大人になれるが、ヒトにはなれない。

C) 学校は勉強する手段の一つだ。本を読んでも、自然や社会を観察してもできる。しかし勉強の仕方は教わらなければ分からない。学校はその一つだ。

D) 外から入ってくる言葉、つまり言霊には、善霊と悪霊がある。ヒトは無意識に言霊を信じるように出来ている。善霊と悪霊を区別できずに取り込んでしまうように出来ている。選別するフィルターを持たないと、場合によっては悲惨なことになる。感情の興奮を誘う言霊は内容のいかんにかかわらず全部悪霊だと思った方が良い。学校は最初のフィルターを装着するためにある。

E) 勉強して得られるのが悟りだ。

 悟りって何なの。

A) カイコが繭で住処を作るように、自分や世界や時間を言葉で作って、身に着けることだ。

 悟ったらどんないいことがあるの。

A) 言葉の心が強くなる。

B) 困難や苦難に挑戦することが出来る。

C) 感情の心の興奮や欲望の暴走を止めることが出来る。

 どうすれば悟れるの。

A) 花を見て美しいと思っても、ゲームをして楽しいと思っても、悟ったことにはならない。その思いを言葉にして、自分や世界や時間に編み込んだら悟ったことになる。

(2) 閉会。

 「香満ちました」と唱和して礼をする。ペーターは木の中に帰る。

 ノンちゃんの初夢は終わる。

 この言霊の伝達式の次題は、ノンちゃんが薫香録にして、USBに入れて、押し入れの桑折へ。いつかヒロちゃんに渡るようにする。


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香心門 プレマみなみ風 310212

曇り。寒い。

入所者8名。介護士さん1名。

3年前の3月が、この施設での、第1回のお香の会だった。

その時から助手をしてくれた介護士さんが、出産準備の為来月で退職するという挨拶があった。

ホームでは、親しくなった人々が卒業する場面ばかりだが、こんな卒業はさびしいがうれしい。

色々不自由なヒトとのお香の会、試行錯誤の積み重ねでここまでこれたのも、この方の支えのおかげだと本当に感謝している。

紅白戦。

人はいさ 心も知らず ふるさと

ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

人の心は変わるけれど、このふる里の梅の花は、

昔と変わらずいい匂いだなあ。

献香。感謝。


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2019年2月11日 (月)

香取物語香具屋姫探香記。(九)

7.あの世の和香会(1-1)。

(1) ノンちゃん70歳、ヒロちゃん10歳。

 正月2日、ノンちゃんは初詣から帰宅。おせちで晩酌。ほろ酔いで押し入れを探し、あの桑折を枕元に置いて、眠る。

 爺ちゃんが迎えに来る。

 動けない。いつの間にかヒロちゃんもいる。

 爺ちゃんが布団の枕元に操縦管を差し込む。布団が空飛ぶ絨毯になって、舞い上がった。

 頭の方から爺ちゃんの声がする。これは1次元の情報世界でしか使えない装置だ。起きている間の4次元世界で言えば、香炉のようなものだ。

 爺ちゃんは枕元の操縦席に座り、布団を操縦している。

 庭の夜空にそびえる香の木の頂上に向かって、出発。

 香の木は、近づくにつれて膨れ上がって、木の葉の海になる。

 木の葉の海は、風に吹かれて、巨大なうねりをうっている。布団の乗り物は、波の中に突っ込んでいく。静かな暗い空間に切り換わる。遠くに、星の川や雲や点が散りばめられている。

 ここは心の宇宙だ。星の一つ一つはこれまで聞いたり読んだりして心にコピーされた言霊だ。星と星が線でつながっているのが星座、文章だ。たくさん集まって明るく見えるのが星雲、物語だ。

 漂っている黒い霧が暗黒物質、悪い言霊だ。

 それらを吸いこむ黒い穴がブラックホール、暗黒星雲、感情の心だ。

 飛び交っている彗星が癒しの火花だ。

 弱い言霊も彗星もブラックホールに吸い込まれてしまう。

 今日の会場が見えて来た。

 あの黒い星雲のわきに光る小さな星だ。

 近づくにつれて星が木になり、葉の海になり、膨れ上がって、二人を包みこむ。

 岸辺に着陸した。空には黒い天の川が、暗い滝つぼに流れ込んでいる。音はしない。庭と同じ香の木が生えている。ノンちゃんは、ヒロの木に初めてできた香木を焚いて、呼びかけの献香をした。「これでわしの役目はすんだ」。

(2) 木の後ろから外国人風の男が現れた。ノンちゃんがヒロちゃんに、大爺ちゃんだよと紹介した。挨拶を交わして、筵(むしろ)の上に座った。

(3) 男はヒロちゃんに、ペーター・シュレミールだと名乗った。

(4) ペーターが香元になって、巻物の薫香録に従って進行する。

(5) ペーターは黒いシルエットが描かれた竹の編み籠を取りだす。植物採集の胴乱(どうらん)だ。

(6) ペーターが香題「ヒトとしての心」を宣言する。

(7) 巻物の和歌を皆が見えるように広げる。ヒロちゃんが暗記していた和歌だった。

(8) 和歌を唱和する。天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ。

(9) ペーターが胴乱から香木を取りだし、香を点てる。

(10) 香炉が廻ってくる。

(11) ノンちゃんがささやく。香の銘は静中成友、寂しさを消す。複雑な渋みだ。


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2019年2月10日 (日)

香取物語香具屋姫探香記。(八)

6.ノンちゃんの恩返し(2)。

(1) あっという間にまた10年。ノンちゃん70歳。

(2) 庭にはノンの木とヒロの木が並んでいる。

(3) 引き継ぎの旅の計画をたてた。

 内容は、庭の木とともにヒロちゃんの心が育つ3年間の仮想の旅行だ。ノンちゃんが70歳から74歳、ヒロちゃんが10歳から14歳の春から正月まで。春と秋のお彼岸に、ノンちゃんの夢の中に爺ちゃんが迎えに来る。夢の中でヒロちゃんも一緒に連れて行く。9本の香の木を訪ねる。

 自分がみんなと別々に思える所から、自分もみんなも一つに思えるようになる物語にしよう。動物からヒトへ進化する旅の物語だ。

(4) 舞台。

 心の宇宙。

A) ヒロちゃんの心に溜まった言霊が、星や星雲となって光っている。

B) ヒロちゃんが聞いたり読んだりして得た言霊が、ヒロちゃんの心の宇宙にコピーされて、星になって増えていく。星は集まり、物語になって星座や星雲になる。各星座や星雲は近づくと香の木になっている。

C) 悪い言霊もコピーされて、暗黒物質になっている。感情の心のブラックホールで、暗黒星雲に育つ。飛び交う癒しの彗星も、弱い言霊たちも、吸い込まれてしまう。

 星めぐり。

A) この宇宙は人類の数だけ在るが、別々ではなく同じ一つの情報の次元にある。だからどこへ行ってもどこから入っても同じだ。順番や違いがあるように思えるのは、言葉の心がそのように読むからだ。ヒロちゃんは未だ旅の順序が決められないので、ノンちゃんが案内することにする。

(5) 登場人物。

 星座や星雲は、ヒロちゃんの心の中にある物語で、香元は、その物語の登場人物にする。

 前回出会った少年は、カムパネルラ。英語のカンパニー。仲間、みんなと言う意味。ここは心の宇宙の入り口でもあり出口でもある。それぞれの暗黒星雲の入り口に香の木が生えている、悟りの木だ。幼い言霊が吸い込まれないようにガードをしている。

(6) ノンちゃんの爺ちゃんもノンちゃんに同じ事をしたが、ノンちゃんは脇道をした。この旅の計画も、試行錯誤で行こう。


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2019年2月 9日 (土)

香取物語香具屋姫探香記。(七)

6.ノンちゃんの恩返し(1)。

(1) あれから50年。ノンちゃん60歳。

(2) 一人息子は結婚して、遠くの街に住んでいる。ヒロちゃんという孫が生まれたそうだ。

(3) その日、庭に香の木の種を埋めた。私が祖父の植えた木から落ちたのは10歳の冬だった。同じ流れなら、まだ10年ある。この子の心にカニのような殻ができて、自分や他人と喧嘩をし始めるのはその頃だろう。

(4) 自分も祖父になって、こんな気分だ。まえがきを繰り返す。

 最近気持ちが落ち着かない。月に帰る日が近づいたかぐや姫のような気分だ。してもらったことを自分はまだできていない。月に帰る前にしなければならないことがある。

 祖父がくれた言霊の宝を孫に伝えたい。

 孫はまだ小さい。仮想の物語に託してタイムマシンのビンに詰めて、言霊の海に流しておこう。いつか孫の心の砂浜に流れ着くように。

(5) 春になった。種も根が生えただろう。孫の心も成長が始まる。ずっと先、役立つ言霊を、どんな風に渡そうか考えている。

(6) 爺ちゃんがくれた本を読み返した。

 その本の名は「影を売った男」シャミッソー。

 粗筋。お金欲しさに、灰色の男に影を売る。皆から相手にされなくなる。お金を捨て、魔法の靴を得て、罪滅ぼしの旅に出る。

 若い頃、功名心に目がくらみ、たくさんの人に迷惑をかけた。

 爺ちゃんも、この本をくれたところを見ると、やっぱり灰色の男に影を売ったのを後悔していたのだ。

 この教訓を孫に引き継ごう。私も魔法の靴の代わりに香で、私の旅を続けよう。


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2019年2月 8日 (金)

香心門 中央支援学校 310208

晴れ。寒い。

小学4年5名。先生たち。

サンルームのような教室。

当番の子が先生の合図で授業開始の挨拶。

五味の香。

組香。

ひとはいざ こころもしらず ふるさとは

はなぞむかしの かににおいける

紀貫之(きのつらゆき)

ひとのこころは、かわるけれど、ふるさとのうめのはなは、

むかしとかわらず、いいにおいだなあ。

この花は何ですかと質問する。

先生が打ち合わせ通り間違えて「サクラ」と答える。

誰かわかる人というと、「2月だから・・・」と言いながら手を挙げた子供。私も先生たちも正解を期待する。「ゆき」と答える。

私も先生たちもシンとなる。

私がやむを得ず正解でした言うと、先生たちも拍手した。

後で良く考えたら、本当に正解だったことに気づく。

子供は素晴らしいと実感した。


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2019年2月 7日 (木)

香心門 中央支援学校 310207

五味の香。

組香。

ひとはいざ こころもしらず ふるさとは

はなぞむかしの かににおいける

紀貫之(きのつらゆき)

ひとのこころは、かわるけれど、ふるさとのうめのはなは、

むかしとかわらず、いいにおいだなあ。

献香。ゲゲゲの鬼太郎。子供たちに受けた。


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2019年2月 6日 (水)

香心門 中央支援学校 310206

久しぶりの雨。寒い。

中学1年5名。先生。

五味の香。

組香。

ひとはいざ こころもしらず ふるさとは

はなぞむかしの かににおいける

献香。

去年の春の授業にも参加した生徒たちだった。

1年ぶりだが名前と顔を思い出せた。

雨で寒かったが、窓を開くと、今日の和歌の白梅が咲いていた。

給食の献立はカレー南蛮とか。

こんな寒い日にはぴったりだ。


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2019年2月 4日 (月)

香取物語香具屋姫探香記。(六)

5.読みの国の和香会。

(1) 木の後ろから少年が現れた。爺ちゃんが、大爺ちゃんだよと紹介した。挨拶を交わして、筵(むしろ)の上座に座った。

(2) 巻物を皆が見えるように広げた。

(3) ふところから香木を取りだし、香を点てた。

(4) 巻物の薫香録に従って進行する。

(5) 唱和する。山吹の 立ちよそひたる 山清水 汲みに行かめど 道の知らなくに。

(6) 問答が始まる。ノンちゃんが聞き、大爺ちゃんが答える。

 死んだらどうなるの。

A) 体について考えよう。

a 目に見える形に囚われて、体が存在するかのように思えるが、その正体は体のDNAというウィルスの一種が作る、使い捨ての乗り物だ。

b 体のDNAが下車すれば体は消えてしまう。

c 個々の体が消えても、体のDNAはすべての体に偏在している。生死は使い捨ての乗り物である体に生じることで、体のDNAにはない。

B) 心について考えよう。

a 心は脳の働きで、感覚と感情と言葉の3つの働きがある。

b 感覚と感情の心は、体に操られている。言葉の心は、体から独立している。

c 平穏な時は、動物としての心つまり感覚や感情の心でいる。問題が起こると、ヒトとしての心つまり言葉の心になる。

C) 心の主人公について考えよう。

a 感覚の心としての主人公を自身、感情の心としての主人公を自我、言葉の心としての主人公を自分と呼ぶことにする。

b 自分はどこから来てどこへ行くのだろう。言葉が、体から独立した状態を言霊とする。人類が貯えた言霊の海、つまり心のDNAの海があって、そこから一人一人の言葉の心に流れ込んだ言霊が一人一人の自分となる。自分は言霊の小さな水たまりだ。自分が言葉を発すると、言霊になって、言霊の海に帰る。人類の言葉の心という大気圏を水のように循環しているのだ。

c 個々の体に宿る自分には生死があり、人類全体に宿る言霊つまり心のDNAには生死は無い。

 この世に帰ってもここで見たことはみんなには言わない方がいい。みんなは、あの世は死者だけが居る場所で、気味が悪いと思うだろう。それはこの世の勢力、感覚や感情の心が、あの世の存在を知られない為に出す、妨害電波なのだが・・。体が若いほど妨害電波も強い。歳を取ったらまた呼んであげよう


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2019年2月 3日 (日)

香取物語香具屋姫探香記。(五)

4.ノンちゃん読みの国へ。

(1) 翌日は葬式だった。その夜、押し入れを探した。ミカン箱くらいの柳の枝を編んだ桑折(こおり)があった。中には竹籠と巻紙がある。

(2) 桑折を枕元に置いた。眠ると、爺ちゃんが迎えに来た。

(3) 動けない。

(4) 爺ちゃんが布団の枕元に操縦管を差し込む。布団が空飛ぶ絨毯になって、舞い上がった。爺ちゃんが言う。これは1次元の言霊世界でしか使えない装置だ。起きている間の4次元世界で言えば、香炉のようなものだ。

(5) 爺ちゃんは枕元の操縦席に座り、布団を操縦する。

(6) 夜空にそびえる庭の香の木の頂上に向かって、出発。

(7) 香の木は、近づくにつれて大きく広く膨れ上がって、木の葉の海になる。

(8) 木の葉の海は、風に吹かれて、巨大なうねりをうっている。布団の乗り物は、波の中に突っ込んでいく。静かな暗い空間に切り換わる。遠くに、星の川や雲や光の点が散りばめられている。

(9) 南十字星をちょっと過ぎた時、祖父がポツリと言った。あそこに見えるのが、カムパネルラ星雲だ。

(10) 目指す「ブラックホール1号」に着いた。大きな川が、暗い滝つぼに流れ込んでいた。音はしなかった。

(11) 岸辺に着陸した。庭と同じ香の木が生えていた。爺ちゃんは、持ってきた桑折を開けて、香道具で香木を焚いて、呼びかけの献香をした。「これでわしの一つ目の目的は完了だ」。次はお前の番だ。

(12) お前の中で、複数の心が勝手にうごめいていることは、もう分かっているね。

(13) この旅の目的は、その一人一人とじっくり話をして、仲良くなることだ。旅は9回必要なのだよ。

(14) こちらの世界でのお前は、そのうちの「言葉の心」なのだ。今日の話し相手は「体の心」だ。いつもは背中合わせに重なっていて、互いに相手が見えず、頭が二つある竜のように、じたばたしてしまうのだ。

(15) この香には、心の絡まりを一つずつにほどく力がある。互いに相手が見えるようにしてくれる。そして興奮を消して、冷静に話し合わせてくれる。これが日本の伝統の「和」の力だ。

(16) 和香会はその議場だ。議長に当たるのが香元、その香の木の主だ。議員が客だ。客は、お前とその時々の心たちだ。客は、香元が出す問題を、考えているうちに、互いを知って、仲良くなれるのさ。


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2019年2月 2日 (土)

香取物語香具屋姫探香記。(四)

3.ノンちゃん通夜の夢。

(1) その日爺ちゃんが亡くなって、お通夜だった。眠たくなって、祭壇の脇の布団をめくると温かい足に触れた。爺ちゃんだと思って驚いたら、先に寝ていた姉ちゃんだった。眠った。

(2) 爺ちゃんが、枕元に迎えに来た。

(3) あれ、何でそんなところに居るの。

(4) 今までもこんな風に一緒に居たのさ。目に見える体に惑わされて、体としていたように錯覚していただけだ。これが爺ちゃんの本当の姿だよ。

(5) もう言霊になったので、お前が言葉の心でいる時にしか会えなくなった。

(6) 庭の香の木と同じように、天の原のあちこちに、9本の言霊の木が生えている。爺ちゃん爺ちゃんのもっともっと昔の爺ちゃんみなで育ててきた木だ。それぞれの言霊が固まって香木になっている。明日の夜、その木の下で和香会を開く。来ないか、という。

(7) 天の原の星雲は目を凝らせば無限に見つかる。しかし、心の宇宙のすべては同じ一つの一部だ。一つの星雲を見極めればそれがすべてなのさ。

(8) 明日の和香会は、子供には難しすぎると思うだろうが、大人になったって相変わらず難しいのさ。早すぎることはない。大切なお願いがある。押し入れを開けて、桑折を運ばなければならない。寝る時、布団のそばに置けばいい。わしにはもう体が無い。おまえに頼むしかない。


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2019年2月 1日 (金)

香取物語香具屋姫探香記。(三)

(10)ミツバチの羽音がお経のハミングのようだ。それにかぶせて、爺ちゃんの声がラップのように聞こえた。

l ブッセツ マカ ハンニャハラミタシンギョウ。カンジザイボサツ ギョウジン ハンニャハラミツタジ ショウケン ゴウンカイクウ ド イッサイクヤク。インドに、心のやさしい男の子がいました。皆が幸せになるには、どうすればいいのか、真剣に考えました。そして答えを見つけました。それは、「見たり感じているのは、自分の心が映している映画の世界で、苦しいとか悲しいというのも、映画の登場人物の気持ちで、自分は登場人物ではあるが、本当は観客なのだと考えるようにすると、自由な気持になれる」というものでした。

l シャリシ シキフイクウ クウフイシキ。シキソクゼクウ クウソクゼシキ ジュウソウギョウシキ ヤクブニョゼ。ノンちゃん。見えていても、現実には無いものがあるし、見えなくてもあるものもある。見えても、感じても、考えても、しても、知っても、それは、自分の心が映している映画の世界のことなんだ。と考えるようにすると、いいんだよ。これから、爺ちゃんは、おまえには見えなくなる。感じられなくなる。でも、爺ちゃんは何も変わらず、おまえの心の映画の中にずっといる。と考えるようにすると、いいんだよ。

l シャリシ ゼ ショホウクウソウ フショウフメツ フクフジョウ フゾウフゲン。ノンちゃん。そんな風に見えたり感じたりするだけで、実際には、生まれたり死んだりしていない、汚れたりきれいになったりしていない、増えたり減ったりしていない。映画がそう思わせているだけなんだ。自分が映している映画に、自分がだまされているだけなんだ。と考えるようにすると、いいんだよ。

l ゼコクウチュウ ムシキ ムジュソウギョウシキ。ムゲンニビゼツシンイ ムシキショウコウミソクホウ ムゲンカイ ナイシムイシキカイ。見えても、感じても、考えても、しても、知っても、感覚のすべて、意識のすべては、自分で映している映画の世界なんだ。それを本当の世界だと思ってはいけないんだ。と考えるようにすると、いいんだよ。

l ムムミョウ ヤクムムミョウジン ナイシムロウシ ヤクムロウシジン。絶望するのも映画の中、絶望を克服するのも映画の中、老いたり死ぬのも映画の中、不老不死も映画の中の出来事だ。と考えるようにすると、いいんだよ。

l ムクシュウメツドウ ムチヤクムトクコ イムショトクコ。迷うのも映画の中、迷わないための智慧も映画の中、迷わないための智慧を身に着けたと思うのも映画の中の出来事だ。と考えるようにすると、いいんだよ。

l ボダイサッタ エハンニャハラミツタコ。シンムケイゲ ムケイゲコ ムウクフ オンリイッサイテンドウムソウ クウギョウネハン。このすばらしい考え方を身に着ければ、すっきり、さっぱり、楽しい人生が送れるよ。

l サンゼショブツ エハンニャハラミツタコ トクアノクタラサンミャクサンボダイ。コチハンニャハラミツタ ゼダイジンシュ ゼダイミョウシュ ゼムジョウシュ ゼムトウドウシュ ノウジョイッサイク シンジツフコ。本当だよ。

l コセツ ハンニャハラミツタシュ ソクセツシュワッ。ギャアテイ ギャアテイ ハラギャアテイ ハラソウガアテイ ボジソワカ。ハンニャシンギョウ。さあ、爺ちゃんを信じて、楽しい人生を歩むんだよ。

(11)聞いているうちに夢の中で眠ってしまうと目が覚めた。布団の中。お父さんも、お母さんも、お姉さんも、いつの間にか帰っていた。みんな静かにしているので、文句を言えずに、寝たふりをして、耳を澄ます。お姉さんとお母さんの話が聞こえる。今日病院から呼ばれて、みんなでお別れに行ったことがわかった。


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香心門 金井原苑 310201

晴れ。穏やか。

デイサービス来所者10名。介護士さん1名。

人はいさ 心も知らず ふるさとは

花ぞ昔の 香に匂ひける 紀貫之

人の心は変わるけれど、このふる里の梅の花は、

昔と変わらずいい匂いだなあ。

紅白お香合戦と献香。

タイから、健康診断の為、3か月だけ帰国している男性がデイサービスに来所していて、お香にも参加した。

タイ人の奥さんと一緒に、空港で土産物店をしているとのこと。

絹織物や香木も取り扱っていたということで、私と話が弾んだ。

他の人々もタイ料理や旅行の思い出話で参加した。

時間を超過して、話に花が咲いた。


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