薫香日本書紀 1. まえがき(1/2)
(1) いつの世も、人の心を乱すのは、不満と不安だ。
(2) 社会の在り方だけでなく、個人の心の持ち方からのアプローチも必要だ。
(3) これは、心の津波とともに流れ着き、心の復活とともに流れ去る、香木の流離譚だ。
(4) 日本書紀巻22/推古天皇(592-628年)「三年夏四月、沈水、漂着於淡路嶋、其大一圍。嶋人、不知沈水、以交薪燒於竈。其烟氣遠薫、則異以獻之」。推古3年の4月に、香木が淡路島に漂着。一抱えもあった。島人は香木とは知らずに、薪に混ぜてかまどにくべた。香りが遠くまで広がった。びっくりして朝廷に献上した。
(5) この世を支配しているのは、生命誕生以来、数十億年を経た、DNAの海だ。あの世を支配しているのは、人類誕生以来、数十万年蓄積した、言霊の海だ。先達者の使命は、後進者に言霊を伝えることだ。DNAやDNAの海については、科学的知識としてインターネットなどで調べてほしい。この世やあの世や言霊については、一人一人が抽象的に自分の中に言葉で作るものなので、一概には言えない。この物語での考えは、以下の通りだ。
① 体は、DNAの孤立した水たまりではなく、生物誕生以来数十億年生き続けているDNAの海の一部なのだ。自分は、言霊の孤立した水たまりではなく、人類誕生以来数十万年蓄積し続けている言霊の海の一部なのだ。
② 言霊とは、ヒトの言語野が言葉を作り、発信して、共有し、記憶や記録をした情報だ。
③ 言霊の海とは、共有され、記憶され、記録された言霊の集合、つまり文化のことだ。時空を超えて個人に流れ込み、その個人の、自分や世界や、記憶や願望という時間となり、その人格を形成する。個人は困難に出会うたびに、受け入れた言霊を進化させて、発信して、言霊の海に返す。
④ この世とは、DNAが作り出している本能つまり感覚や感情の心に映る環境のことだ。
⑤ あの世とは、言霊の海から、個々の言葉の心に流れ込んだ言霊が作り出している、言葉で出来た、自分、世界、時間のことだ。
⑥ どちらも生きているヒトの脳の中に、一人一人別々に生じている情報だ。
最近のコメント