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2017年11月

2017年11月28日 (火)

香心門 よみうりランド花ハウス ショートステイ 291128

晴れ。青空に、金色のイチョウ、その向こうに、無人の遊具が見え隠れ。

来所者5名。介護士さん1名。

全員大正生まれの九十代。

組香の時に「お香で海馬を活性化」という、鳥取大学医学部の浦上教授の話をしたら、みなさん真剣に取り組んでくれた。

満州生まれの方が二名居た。

お香のおかげか、昔の記憶が湧いてきて、思い出話を聞かせてくれた。

どちらもわが母と同じ95歳。

母が曾祖父の満州出兵の話をしていたことを思い出した。

その母はもう昔話はできない。

そんな時代があったことを語れる人も少なくなった。

貴重な時間だった。

降る雪や、明治は遠く、なりにけり。中村草田男

降るイチョウ、大正も遠く、なりにけり。


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2017年11月21日 (火)

香心門 桜ケ丘記念病院 延寿ホーム 291121

はれ。12月並みの寒波。

入所者10名。介護士さん2名。

11月はこれといった季節の習わしがない。

年末も迫ってはいるが実感を伴わない。

漠然とした月で、お香も、淡々と進めるしかない。

しかし若い看護師さんたちは気力満々で、お香のお点前をすぐにマスターして、皆さんの手を取って指導してくれた。

参席者のほとんどは90代から100歳。

お香の点前やゲームで協力し合うと、年齢の差も障碍も消え、打ち解けた雰囲気になれる。


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2017年11月17日 (金)

香心門 お香の日の会 291117

晴れ。朝はこの冬一番の寒さ。大和市シリウス。

3名。

今年1月にスタートして、いよいよ最終ゴールの源氏香。

みなさん、源氏物語の受講生でもある。

源氏物語は、目に見えない「恋」や「悲しみ」が主題だ。

「香り」もよく登場する。

源氏香も似ている。

5つの香りの物語だ。Photo

2017年11月16日 (木)

香心門 中央林間地域包括センターデイサービス 291116

曇り。寒い。

来所者16名、介護士さん1名。

ここは、近所の、元気な方々が中心だ。

話も打てば響くように返ってくるし、会話も弾む。

早く着いたので、みなさんが柔軟体操をしている。

自分も意識して運動をしようと思う。

人数が多いので香炉を二基用いた。

組香は、違いが分かりやすい香材で、二種香をした。

献香も丁寧にできた。


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2017年11月14日 (火)

香心門 プレマみなみ風 291114

降ったりやんだりの、寒い1日。

入所者7名。介護士さん1名。

さびしさに やどをたちいでて ながむれば

いづこも同じ 夕暮れ 良暹(りょうぜん)法師

ここの雰囲気は、介護士さんたちの醸し出す明るさというか温かさを、特に感じる。

こんな晩秋の雨の日は特にそうだ。

居住する人々にとっては、終の棲み家だ。

設備やサービスも大切だが、あえて言えば、もっと大切なものがある。


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2017年11月 8日 (水)

香心門 ひらお苑デイサービス 291108

曇り、晩秋の雨。並木道も落葉。

来所者20名。介護士さん3名。

久しぶりの大人数。

私の得意な雰囲気作りの技は2つある。

一つは、名簿をもらって、進行の過程で名前を呼んでいるうちに、打ち解けた空気になる。

もう一つは、香炉の説明で、火鉢を例に挙げる。

若い介護師さんはみな知らないので、来所者に説明してもらう。

いつもと主客が転倒して、みなさん笑顔になる。

デイサービス担当の介護士さんは、部屋の担当とは違って、来所者を元気に、楽しませるのが仕事だ。

おかげで、一人ずつを丁寧に、香炉の点前に手を添えて、香りを聞いたり、名乗り紙に答を記入したり、火傷をしないように献香をさせてくれた。


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2017年11月 7日 (火)

香心門 ベルホーム 291107

晴れ。穏やか。

入所者13名。介護士さん3名。

もう4年になる。

顔なじみの方が半数だ。

高齢になるに従って、老化のスピードが遅くなるようで、私がだんだん追いついていく感じがする。

介護士さんが多く、熱心に見守ってくれたので、百人一首の朗読、聞香、献香を一人ずつ丁寧にすることが出来た。


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2017年11月 3日 (金)

香心門 金井原苑デイサービス 291103

秋晴れ、穏やか。

柿生の里山の頂上に在る。

紅葉の盛り。

来所者5名。介護士さん1名。助手さん1名。

初めに介護士さんから、一人の女性が二日前に御亭主を亡くされたと紹介があった。

全員が御亭主を亡くされていて、助手の方も同様だった。

互いにそんな話をしながら、心のこもった献香になった

悲しみのうちの寂しさだけは共有できた感じだった。

笑い声は少なかったが、良い香席だった。

感覚の心の喜びを快楽とする。

感情の心の喜びを安楽とする。

どちらも動物としての喜びだ。

感覚の心には苦痛という働きもある。

感情の心は、苦悩という働きもある。

感覚や感情の心に依存すると、楽とセットで苦も得ることになる。

言葉の心には、楽も苦も無い。

あるのは言葉の積み重ね、ヒトとしての自分や世界や時間だ。

仏教の、「芳香のただよう浄土」、香が焚かれ、その積み重なった世界、香積界だ。悲しい、さびしい、痛い、辛いも、言葉にしてしまえば、香りとなり、香積界の一部になる。

さびしさに やどをたちいでて ながむれば
いづこも同じ 夕暮れ 良暹(りょうぜん)法師

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2017年11月 1日 (水)

香心門 グレープの里デイサービス 291101

秋晴れ。おだやか。

大勢の来所者から6名参加。介護士さん1名。

今日から月が変わり、和歌も変わる。

さびしさに やどをたちいでて ながむれば

いづこも同じ 夕暮れ 良暹(りょうぜん)法師

一昨日に木枯らし1号、今年は、秋の影の薄い年だった。

そろそろ冬将軍。インフルエンザやノロウィルスの季節だ。

予防接種を早めにしたいが、ワクチン不足で、まだできていない。

風格のある男性が2名。

二人とも、孫のような歳の介護士さんから、○○ちゃんと呼ばれて、まんざらでもなさそうだ。

ヒトは名前を付けられ、名前とともに生き、名前を呼ばれる為に生きている。

○○ちゃんと呼ばれると、子供のような気持ちになれるのだろう。Photo

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