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台風は、昨夜北上して、蒸し暑い空気を残して行った。
自分の車が使えず、重い香道具を抱えて電車で向かう。
乗り換えの階段の上り下りがきつく、我が身の老いを噛みしめた。
待ち合わせの駅のロータリーに着くと、迎えの車が待っていて、ホームに入ると別天地のように涼しい。やっと気力が回復した。
歳を取るのは、ヒトごとではない。
入所者6名、介護士さん2名、研修生1名。
秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ左京大夫顕輔
ほとんどが常連なので、スムースに、楽しく過ごせた。
研修生は高校3年の女子。
入所者も、勿論私も、若者が交じると、何となくうれしい。
横の席の入所者が女子生徒に、一生懸命お点前の指導をしていた。
今回初めての、香の10徳の御神籤も喜ばれた。
今日の自分は日本一幸福な69歳だった。
今年7歳になる孫の、水泳教室の付き添いを頼まれて、今、観覧席からプールを見下ろしている。
青い水面のあちこちに、小さな頭や、水しぶきや航跡が見える。歓声や掛け声が天井に反射して、押し寄せてくる。
ウトウトして目をつぶる。目を開く。ずいぶん眠ったようだ。
プールの場所に祭壇があって周りを白やピンクの花が囲んでいる。中央に白い布に包まれた長い箱が置かれている。
香元の声がする。「これからお香の会を始めます」。
あの年に亡くした年長の孫娘だ。「あれから7年経った。そろそろお迎えに来たのかな」と思う。
香元が続ける。「香りには興奮させて酔わせる香りと、興奮を鎮静して、理性を目覚めさせる香りがあります。沈香は後者です。今日は11種の沈香を聞く、観賞香です」。
最初の短冊が、流れてくる。小学生の鉛筆書きで「体はどこから来たの。どこへ行くの」と書かれている。
追いかけて亀の姿の玉手箱が流れ着く。手元に寄せて開く。中に香炉が在る。
香りが昇って、あの衣に戻って、舞いながら、身につく。
眠くなる。そよ風に揺られて、目を開く。蝶になって、言葉の花畑に遊んでいる。色々な花の露を吸って、最後に大きな沈香の木の幹に止まって、甘い香りがする樹液をなめる。眠くなる。子供たちの歓声で、目を開く。元の自分に戻っている。
さらに10枚の短冊と玉手箱が順に流れてくる。そのたびに、荘子の胡蝶になって、花畑の露を集めては目覚めて、元の自分に戻る。繰り返しなので、ここでは短冊の文章だけを記載する。
2枚目には「死ぬのは痛いの」と書かれていた。
3枚目には「死ぬのは嫌だ、死にたくない」と書かれていた。
4枚目には「自分はどこから来たの」と書かれていた。
5枚目には「自分は何なの」と書かれていた。
6枚目には「死んだら自分はどうなるの」と書かれていた。
7枚目には「ここはどこなの」と書かれていた。
8枚目には「今日が昨日になるの。昨日が今日になるの」と書かれていた。
9枚目には「今日が明日になるの。明日が今日になるの」と書かれていた。
10枚目には「神様はいるの」と書かれていた。
11枚目には「幸福って何なの。どうしたらなれるの」と書かれていた。
全部が終わって、チャイムの音と、アナウンスが響く。「香満ちました。今日はこれでおしまい。ごきげんよう」。
みな別々のようで、みな同じ。答は、オウム返しで、結局、自分が日頃思っていることで、自分が持っている言葉が自分のすべて、ということだ。竜宮に来る前にたくさんの言葉を、あの空になった玉手箱に詰めて、お土産に持ってきて、と言うことか。
あの日以来、孫娘は乙姫になって、竜宮城で待っていて、そう遠くないいつか、自分を迎えの亀に乗せようとしているのだなと思う。
チャイムの音と、女性のアナウンスが響く。「さあ、もう十分遊んだから、早くおうちへ帰りましょう」。あの日避難を呼びかけた市役所の女性の声だ。
夕食までに孫を家まで届けなければならない。嫁に内緒で、マックに寄って、安くておいしいソフトクリームでも食べさせよう。
ゲリラ豪雨。
入所者7名、介護士さん2名。デザインの変更/管理
8月は休会という約束を忘れて訪問、急きょ集合してくれた。
今日から月が変わり、和歌も変わる。
季節を先取りする和歌にした。
秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ左京大夫顕輔
組香。
お盆の献香。
今回からおみくじ香も追加した。
喜んでくれた。
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