香炉屋日記 290516銀河鉄道の夜
早朝。晴れ時々曇り。梅雨の気配。
メールが入っていた。かぐや姫1号からだ。
「昨日は妹が有難うございました。次はこちらにお越しください」。アドレスが付いている。
押して入ると、鉄道の管理センターのようだ。正面の画面いっぱいに、配線図のような複雑な経路が映っていて、無数の光の点が移動している。
大きな2つの渦巻きになっている。それぞれの路線の列車を示す光の点は、外側から内側に円を描いて向かっている。それぞれの中心点は3次元空間でつながっている。
「私1号は左の渦巻きのこの点が示す銀河1号列車に、妹の2号は右の渦巻きのこの点が示す銀河2号列車に載っています」。
「いつか私が体を得たら右の渦巻きの路線に入って、列車も銀河2号になります。妹が体を失ったら、左の渦巻きの路線に入って、列車も銀河1号になります。みんなこうしてぐるぐる廻っているのです。ヒトの本質は体ではなく、言霊なのです。体を乗り換えてぐるぐる廻っているのです」。
「言葉が発信されるたびに、本や記録がヒトに読まれるたびに、この転換が生じています」。
「幼くして体を失った私でも、言葉を発信しています。私を見たり触れたりした人々の心に言葉が生じるのです。それは私が発信した言葉となります」。
「あなたは、私が送るメールのアドレスを押すと、私が乗る銀河1号列車に、妹が送るメールのアドレスを押すと、妹が載る銀河2号列車に乗車します」。
壮大なフィクションだなと思う。現実のリアルの方が空想のフィクションより確かだと思っていた。しかし、視点を、一人の人間の心に移すと、フィクションが本物で、リアルは幻想だとも思える。色即是空とはこのことかと思う。
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