« 香炉屋日記。290507花の香炉 | トップページ | 香心門 プレマみなみ風 290509 »

2017年5月 8日 (月)

香炉屋日記290508銀河鉄道の夜

晴れ。暑いほど。

6年前、ここが開店した頃の話を思い出した。

若い女性が入ってきた。

「香かふぇ」という看板に惹かれ、喫茶店のつもりのようだ。

奥の席に座った。

ここは、飲み物ではなく聞き物つまり香りの店だと説明した。

メニューを見て、良く分からないので、何か一服、という。

香炉の準備をして、テーブルに置いて、花の沈香を載せる。

香の聞き方は知っているようだ。

しばらく楽しんで、香炉を置いて、本を開いて読み始めた。近所の古書店のブックカバーが懸っている。

小一時間ほどいて、街の雑踏に消えていった。棚の片付けなどをしてから、テーブルに行くと、本が在った。表紙を開くと、「銀河鉄道の夜」だった。パソコンで作った本だ。持ち主の手掛かりを探して、表紙を開いた。あの東日本大震災が舞台だ。あの頃自分がSNSへ投稿したままの内容だった。それを誰かが製本したのだ。何とも嬉しい。

ブックカバーの古書店の店主とは顔なじみだ。電話をして、少し前に手作りの「銀河鉄道の夜」を買った女性の客は居ないか聞いた。そんな本は見たことがないという。

製本した人、読んでいた人は誰だったのだろう。私だと知っていてこの店に来て、置いていったのだろうか。続きを書けということなのか。

あれから6年経った。忘れかけていた感情がよみがえってきた。

あの時の気持ちを忘れないうちに、もう一度続きを書いてみようと思う。

復興とは何をどうすることなのだろう。あの時は、町や村を元にもどすことだと思っていた。しかし今は、町や村のことではなく、一人一人の心の復興のことだったのだと思っている。

Photo_2

« 香炉屋日記。290507花の香炉 | トップページ | 香心門 プレマみなみ風 290509 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 香炉屋日記290508銀河鉄道の夜:

« 香炉屋日記。290507花の香炉 | トップページ | 香心門 プレマみなみ風 290509 »